令和6年3月のダイヤ改正では総武線特急の「しおさい」号が全席指定席になったほか、使用車両の大半がE259系に変更されました。
以前そのE259系しおさい号の記事で書いた通り、全体的に減便減車となった点に関してはマイナス評価ですが、その一方で平日夜間下りのしおさい号に関しては通勤需要等も見据えた運転間隔の調整が行われ、更に1本に関しては新設の佐倉行となりました。数回ほど乗車する機会があったので、今回は「千葉市民目線で」これについて書いていこうと思います。
しおさい11号について。停車駅と料金。
停車駅と特急料金
東京20時45分発、その先は錦糸町、船橋、千葉、四街道、終着の佐倉に停車します。
しおさい号は全ての座席が指定席、またE257系500代にはグリーン車の設定がありませんので、50km以内となる東京~四街道の各駅間と船橋~佐倉の各駅間等における特急料金は760円、東京・錦糸町~佐倉では1,020円で利用可能です。このブログをご覧の皆さんはご存じでしょうが、無札乗車=車内購入となると+260円かかるほか、車内で座席の指定はできません。またえきねっとチケットレス特急券を利用すると、各区間において最低でも100円の値引きがあり、JREポイントもたまります。東京と錦糸町を基準とした場合、四街道までであれば従来の自由席とそこまで大差ない料金で利用できるのが嬉しいですね。
運転日
この列車は平日のみの運転です。土休日は列車自体の設定がありません。
臨時化された外房線・京葉線特急「わかしお22号」のように多客期だけでも設定があると嬉しいのですが、そもそも通勤需要に全振りしているような列車ですから、土日に千葉・四街道・佐倉への着席列車として運転されることはないでしょう。
土休日の夜間帯の総武快速線下り最終特急は20時3分発の成田エクスプレス53号で、それ以降は着席保証のある列車が一切設定されていないのは極めて残念なところです。これについてはまた後述しようと思います。
車内設備等
全車普通席です。車内は爽やかな青色の座席が用意されています。E257系ですので若干硬めな味付けの座席ですが、別に夜行快速等で使っている訳ではないのでいいでしょう。房総特急の全席指定化を前に、窓側のみですが、一応コンセントが申し訳程度に設置されました。よほどスマートフォンやPC等の充電が危ない場合を除き、例えば東京から千葉でコンセントがないと困るかと言われたら微妙ですが、少なくともあって損をすることはないでしょう。でもWi-Fiは設置されていません。
特急車両なので当たり前ではありますが、お手洗いもしっかりとあります。また当たり前ですが車内は禁煙です。船橋で降りるなら東武百貨店と駅の外、千葉ならペリエ(笑)、四街道は駅前広場、佐倉であれば南口のパチ屋等でタバコを吸えることを差し引いても、鉄道施設内でのむやみやたらな喫煙は鉄道営業法違反なのでやめましょう。
利用した感想とメリット
感想
利用したのは特に何の変哲もない平日でした。改正で実質的に新しく設定されたこの列車ですが、運転開始時と比べると徐々に利用が定着してきている印象です。私が乗車した4月後半の時点での話ですが、車掌さんからは「窓側の席の大半が満席となっている」「座席未指定券と無札は通路側の空いている席をご利用ください」という旨の放送がありました。乗車率は5割以上6割未満といったところでしたが、金曜日等であればもう少し乗車率が高い可能性もあるかなといった印象です。カレンダー通りの休暇しかない人生を送りたくないのはさておき、私自身は隣が来ることも無く、千葉まで快適に移動することができました。ですので560円(えきねっとチケットレス導入記念で200円値引きの期間です)払う価値は十二分にあったかと思います。また四街道で数回ほど撮影したことがあるのですが、千葉のみならず四街道での下車客も日に日に増えていっていたイメージはありますので、ホームライナーよろしく帰宅用着席保証列車として徐々に支持を集めている印象です。
利用するメリット
一番のメリットとして、快速のグリーン車よりも安価な料金設定で確実な着席保証とJREポイントがついてくることが挙げられます。JR東日本が推し進める「わかりやすい特急料金体系」において実は特急料金の方が安いことが多いのは他線区でも同じことが多いです。総武快速線のラッシュ時を利用されたことがある方に今更申し上げることではありませんが、自由席かつ料金も割高な快速グリーン車を利用するよりは、速く安くお得な特急を利用した方がいいのは自明の理です。実際に、東京を4分前に出た佐倉行快速を市川で追い抜いて10分ほど早く着く設定ですし。もっとも、新型E235系グリーン車にはWi-Fiがあるのに、E257系500代にはそれがありませんが。これに関してはE257系500代の機器更新を見据えて先延ばししている可能性もありますので、今後に期待する価値がない訳でもないでしょう。
また「特急」である以上、少し前にも書いた通り、快速よりも速達性に優れています。とはいえ東京→佐倉のそこそこ短い距離ですので一概には言えませんが、先述の着席保証や安価な料金設定等にも鑑みたら、4分前の快速のグリーン車で着席チャレンジをするぐらいであれば、より安価で速く確実に座れるしおさい11号を選びたいなと思ってしまいます。隣がいるのであれば別ですが。
デメリット
このデメリットに関しては、もちろん悪気はないのですが難癖をつけているようなものです。言葉を返せば、特にこれといって不満な点はありません。そこを念頭に置いた上でお読み進めいただければと思います。
型落ち車両感。
まずは、ファンである私が言うのもなんですが、他の大半のしおさい号が(E257系よりは)いくらか新しいE259系で運転されていることに鑑みると、どうしてもE257系の型落ち感は拭えません。好きなんだけど。
先述の通りWi-Fiがなく、コンセントも窓側席への設置に留まっています。一方のE259系であれば全席にコンセントがあるほかWi-Fiも完備、座席数自体は少ないながらもグリーン車の用意もあります。ただし編成全体の座席数で見るとE257系500代5連の方が僅かに定員が多いほか、そもそも最長で東京→佐倉という実質的なホームライナーともいえる列車の性格である以上、わざわざ鎌倉車両センター所属のE259系を佐倉までの運用でしかないしおさい11号に充当する理由も見当たりません。ですので、個人的には現状でいいとも思っております。なおE257系500代に関しては機器更新時期を迎える頃かと思いますが、仮に機器更新を行って今後も継続使用を見込んでいるのであれば、コンセントは難しくともWi-Fiの設置ぐらいは行われるかもしれません。強いて不満点をもっと挙げるのであればですが、踊り子・湘南用に改造されたE257系2000代と2500代よろしく座席上方ランプぐらいは(その機器更新の時でいいから)設置してほしいものです。例のランプに関してはむしろ先に成田エクスプレスに付けて欲しいってのもありますが。
運転日とダイヤ設定
その通勤特急な性格が災いして…?
次にもう1つ不満点を挙げるのであれば、土休日の設定も欲しかったことが挙げられます。快速のグリーン車に乗ればいいだけの話ではありますが、先述のようにそれよりも安く速くお得に移動できること、また大きな荷物がある時等の確実に座って移動したい時の利便性等を総合的に考えると、東京20時3分以降の特急が皆無なのは不便ともいえます。それを言ったら特急湘南は土休日の運転がないので贅沢は言えないのかもしれませんが。
これは最早我儘かもしれないけれど。
さらにもう1つ、これに関しては最早私の我儘に過ぎないので、流石にJR東日本と千葉支社にも申し訳ない気がしない訳でもない(こともない)のですが。
しおさい11号としての運用を終えたE257系は幕張車両センターまで回送となります。これを上手く活かして、もう1本東京から夜間帯の特急を設定してみても良いのではないでしょうか。というのも、現在の平日ダイヤにおいては、18時49分発の「しおさい7号」から21時43分発「しおさい13号」までほぼ1時間おきにしおさい号が運転されています。そのうち、今回のしおさい11号は佐倉に21時半頃に到着するダイヤです。このまま東京まで折返し、車内清掃を済ませた上で23時前発の特急として運転させても需要がないとは言えないかと思います。かつてのホームライナー千葉号よろしく、深夜帯の安価かつ速い移動手段として、例えばですが「しおさい15号千葉行」なんてのが設定されたら趣味的にも利用客的にも美味しいです。
ただし、列車の運行に携わる各社員の皆さんのご負担等もありますので、いち利用客の分際でここまで偉そうなことを言うのもお門違いかと思います。人件費と収入とのバランスもあるでしょうから、これは一概には言えません。
運用が災いして…
4月9日19時34分 配信
— JR東日本【在来線特急等】運行情報 (公式) (@JRE_Lim_Exp_etc) 2024年4月9日
『一部運休』
特急「しおさい11号」は、総武本線内での人身事故の影響で、全区間で運休となっています。 #特急・急行 #Limited_express #Express https://t.co/qHaJkT7373
これも言い掛かりかもしれません(そんなつもりはない)が、当日の運行状況によっては割と簡単に運休になってしまうリスクがあるのが一番の弱点かもしれません。何も11号に限った話ではないでしょう(その話はまたいつか)が、この日は総武線都賀付近での人身事故によりダイヤが乱れた結果、しおさい11号は運休になってしまいました。
E257系500代の運用にある程度明るい方であればお察しかもしれませんが、夜にわざわざ幕張車両センターを出庫して東京まで回送、佐倉到着後はまた幕張車両センターまで回送という素人目にも面倒くさそうな運用を組んでいる以上、輸送障害時には潔く運休にしてしまった方が楽ってのが向こうの本音かと思います。人件費削減にもなるのでしょうし。
しおさい11号に利用するE257系を幕張から出庫させなければ入庫までの各運用調整もいらないので、ある意味ではJR側に割り切られた存在なのかもしれませんが、乗ろうと思っている日の運行状況には注意が必要かもしれません。
まとめ
以上、令和6年春改正で新設されたE257系500代「特急しおさい11号」について、乗車レポを書かせていただきました。
書いて来たとおり、この列車の設定に関しては素直にありがたい存在です。現状ではそこまで混雑する訳でもなく、趣味的には大好きなE257系500代のしおさい号に下りでも乗れるほか、やはりチケットレス特急券で安く便利に乗車できるようになったのは大きいものです。
改正前のしおさい11号は下り最終成田エクスプレス53号の7分後に発車する銚子行でしたが、これが減便の結果成田エクスプレス53号より20分程度早いしおさい9号に変更され、新しおさい11号はN’EX53号より40分ほど遅い発車+船橋~佐倉の各停車駅と接続先への通勤需要に特化してくれたのも、いち千葉市民としてはありがたいところです。
また改正以前も区間限定でチケットレスは使えたものの、例えば錦糸町から千葉等の区間では使えないこともありました。ですから全席指定化に合わせてE257系500代の運用が増えたことや設定時刻の利便性等にも鑑みるととてもありがたい列車です。私自身は別に都内に通勤している訳でもないのでアレですが、時間とカネの都合がついた時だけでも愛用していきたいと思います。
本館ではまた違った切り口で同列車について記述しております。併せてどうぞ。